ミコッテ族女性、ジャ・メルラ・セト曰く|テルミツ・ウルシマ
よっすよっす、また会ったね! 隣空いてる? ありがと、じゃあ失礼するわよ〜。
やぁだ、覚えてる、って? キミみたいなヒト忘れるわけ無いじゃんね。小さなアウラのお兄さんなんてあたしの人生で他に会ったことないわよ。キミある? ないよね、そういうことよ。あっ、店員さん、あたしエール! 大ジョッキで!
今日キミに会えるなら、やっぱりあの子に仕事切り上げさせて連れてくるんだったなぁ。あの子ってのは、あたしの雇い主の女の子だよ。あたしの仕事、前にも言ったっけ? そうそう、リテイナー。冒険者やってるヒトの持ち物預かったり、財産の管理したりするの。年齢はあたしの二つ上だっけな。二十六! あたしと同じミコッテだけど、彼女はムーンキーパーね。
冒険者なんだけど、本職は裁縫師らしいよ? だからあたしも、獣の粗皮とかニカワの材料とか、リテイナーベンチャーってやつでバシバシ狩ってくるの。体動かすの好きだから、帳簿付けてるだけよか断然楽しいわ! 良い品質のモノ狩ってきた時に見られる、彼女のキラッキラした目も好きだしね。
主について? ……あ、エール来た。はーい、カンパーイ! ……くーっ、美味い! やっぱり仕事終わりはエールに限るわよね! キミもエール好き?
エール、あの子はそんなに好きじゃないんだってさ。信じられる? ううん、酒自体は飲むよ。めっちゃ飲む。趣味、晩酌だもん。自分で果実酒仕込んだりしてるし、ワインにシードル、ミードとか、その辺はガンガン飲むわね。あー、確かに。果実のリキュールとかめっちゃ好きよあの子。女の子っぽいねって? やだー、あたしが女の子じゃないみたいじゃんかぁ!
あの子は主だけど、年が近いマブダチよ。あの子の家が仕事場だから、仕事終わりにワインセラーからラノシアワイン出したりしてよく飲んでる。そそ、一人暮らし。冒険者稼業って凄いわよねー。グランドカンパニーの冒険者部隊で活躍したりすると、特別区の購入権利とか貰えるんだもんね? あははっ、そう、その程度には戦うしバンバン戦場行くんだけど、あの子はあくまで裁縫師なんだってさ。
一人、物静かな印象が強いけど、結構ヒトが好きなタイプ。無口って言うか、クール? でも、他人のことでろでろに甘やかしたい感じ。案外そこ、両立すんのよね、不思議なもので。あたしと同じリテイナーがたくさん居てさ、仕事中は黙々とボッチでも気にしないんだけど、ふと我に帰ったときに一人だと寂しいみたい。姉弟が居るからってのもあるかも。
上にお姉さん、下に弟が一人ずつだって。あたしサンシーカーだからもっと人数は多いけど、姉妹たくさんに弟が一人だから似たようなもんね。あの子の弟、歳離れてるからか随分甘やかしたみたいよ〜。お、キミも下に妹が? へー、みんな可愛がるもんなのねぇ。うちなんか、ヌンになるには強くならないといけないのに、弱々しいっつって姉妹でシバキ……違った、修行付けて強くしてあげたもんよ。
会ってみたい? あたしも会わせてみたいな。あの子裁縫バカだから、美人を見ると見境なく口説いて服デザインするわよ。スイッチ入った時の目がギラッギラしててねぇ、徹夜で仕上げてくるから。一着目はサービスで良いわよ。二着目からは適正価格で買ってね! えへ、押し売りだって? いやー、質は良いのよ? マジで。見てみたいって? 待ってました!
あたしの意識がハッキリしてるうちに名刺をどーぞ。買わなくても、単純にまた会いたいからあたしの連絡先も、ほい。……口説いてるねぇ。あの子がうつったかな。だって、好きな人には好きなことさせてあげたいじゃない? そんで相手も喜びそうなら、こりゃもう両方勝者よ。ね!
んじゃ、商談成功を願って、景気付けに二杯目行きますかぁ! 夜は長いわよ〜!
